犬

生きてて辛いとかそんなことを言っておきながらなんだが、悲しいことがある。
我が家の飼い犬が、もう先が長くない。
14年目で、スピッツなんかの血の入った雑種だ。
去年の暮れ頃から少しおかしかった。
食べないものがいろいろ出てきた。調子の悪い日もあった。
でも本当に微々たることだった。
しかし2ヶ月ほど前、体に腫瘍のような物ができて、
その影響から体調が悪く、食べ物も食べず、寝転がることも出来ずに震えながら立っていて、
体力が限界になって倒れ込んでようやく寝れるという状態だった。
病院で膿を洗い出し、点滴をして一時的に回復したが、
食べられるもの、ただでさえ少なかった食べられる量がどんどん減っていき、
また、次から次へとこの腫瘍のようなものが一つ消えればまた一つといった具合で出てきた。
転移というやつだろうか。
検査の結果では、腎臓がとても悪いらしい。
それでも、先週まではなんとか立って歩けた。
1mほど歩いては休み、歩いては休みといった具合だった。
毎日のように点滴をして、ほんのわずかだが、菓子なんかも食べた。
でも、もうとうとう立てなくなった。
それでも毎日病院に抱えて行き、点滴をしている。
（といっても私は仕事があるので、母が連れて行っているのだが。）
太り気味の犬だったが、やせ細り、体に触ると骨がごつごつごつごつしている。
悲しい。かわいそうだ。助けてやりたい。楽にさせてやりたい。でももっと生きて欲しい。
毎日辛くても、辛くて仕方ないというそのままの無防備な顔を見せることのできた
唯一の存在だというのに。
結局回り回って、私自身のことが悲しいのだろうか？
そんなことはないと思いたいが。
こいつのことを心配することだけが、せめてこのことだけは、
私に残された、唯一か、数少ないかの良い意味での人間らしさだと、そう思いたい。