Dakota Suite

Dakota Suiteのライブを観に行った。
事前のアナウンス通り、クリスさん一人でのギターの弾き語りによるパフォーマンス。
奥さんのジョアンナさんが撮影した写真をプロジェクターでいくつもスライドしながら、
クリスさんはその美しい写真に何度も目をやり、より感情を深め、演奏する。
今回、バンド形式ではないということで、
それならば是非聴いてみたかった初期の代表曲“Wintersong”からライブはスタートする。
この曲は私は特別好きなわけではないのだが、もっとシンプルな形になればきっと良いだろうと思っていた。
その予想は当たり、より静謐で美しいものになっていた。
一曲が終わるたびにリストを見て次の曲を選びながら、
曲をプレイする前に曲や写真など関するエピソード(エヴァートンFCやチャールズ・ブコウスキなど)を話し、
うたものとしては最新作にあたる“Waiting For The Dawn To Crawl Through And Take Away Your Life”から
やや多めに演奏していたが、偏りすぎず幅広く曲を選んでいて、私の好きな曲の多くは聴くことが出来た。
インストゥルメンタルでのピアノも短く披露してくれた。ギター同様じんわりと染みる演奏。
作品ごとにテイストの変わるバンドではないが、彼らの曲は本当に全部好きだ。
何を演奏してくれても本当に何でも良かった。こういうバンドは珍しい。だからこそ素直に満足なセットとなった。
終演後、直接一言、日本に来てくれたお礼伝え、帰った。
一人でのパフォーマンスにして、今年観た中でもベストアクトと言える充足感のあるライブとなった。


開演前、期待を膨らませてステージの前で待っていたら、誰かが私の肩をそっと優しく二度叩いた。
振り返るとそこにはクリスさんがいて、「ちょっとここ通らせて」という意味であった。
狭い会場なので、人の往来が大変なのだ。この狭さがアットホームで良いのだけれど。
クリスさんは銀髪で黒のVネックTシャツにダークカラーのクロップドパンツというリラックスした服装をし、演奏中は裸足。
やわらかな物腰で、曲の雰囲気とよく合った人だった。