冷たい熱帯魚

園子温監督作。実際に起こった猟奇殺人事件に発想を得た作品。
いつも通りのどことなく安っぽい画、整合性に欠けた物語。しかし毎回それらを補って余りある圧巻の芝居。
物語を思い描いた方へ進めたいがために、かなりご都合主義で動かしてはいるが、勢いに引き込まれてしまうのだ。
でんでんさんが得に素晴らしく恐ろしい。
誰もが一度は見たことのあるほど脇役で数々の出演をしている俳優だが、今作で初めて名前を知った。
主役の吹越満さんは名前も見たことはあったが、ようやく覚えることが出来た。
色々込みで「紀子の食卓」「愛のむきだし」には及ばなかったが、物語はたぶん突拍子もない物だろうと分かっていたので、今作も人間の狂気を表現した芝居や印象に残る台詞には満足。
もう一作、同じように実際の事件を元にした映画が今年中くらいに公開予定とのこと。楽しみ。
一つ気になったのは、客席に年配の方が多かったことだ。
さすがにこういう内容だと分かって来てはいないような気がするが、あの過激な内容、大丈夫だったのだろうか。
帰り道でも、一人で観に行くと思われる中年の女性に映画館までの道を聞かれた。
他にも一人で見に来ていた中高年の方は結構いたが、無事気分を害さずに帰ることが出来たのか。心配しすぎだろうか。